読書の秋に
「読書の秋」という言葉があります。
8世紀の中国の詩人・韓愈(かんゆ)の漢詩が元になっていると言われています。
「秋の涼しさが広がり、夜には灯りに親しむことができるので本を読むのに適している」といった内容の詩です。
読書は一年中できますが、日が短くなる秋は室内で過ごす時間が増えることもあって、確かに本を手に取りたくなります。
減り続けている読書量
本を読む人は年々減っているようです。
文化庁の「国語に関する世論調査」によると、読書量が減ったと感じている人はおよそ7割にのぼります。
令和5年度の調査では、「1ヶ月に読む本の冊数は0」と回答した人が6割を超えました。
学校に通う子どもたちは大人に比べると本を読む機会が多いようですが、文部科学省の調査でも、子どもたちの読書時間は年々少しずつ減っていることがわかります。
読書をまったくしない子どもも増えており、小学生で1割弱、中学生では2割、高校生になるとおよそ半数が「本を読まない」と答えているそうです。
こうした数字を見ると、やはり「本離れ」という言葉が現実味を帯びてきますね。
文字を読む機会は減っていない
とはいえ、「本を読まなくなった=文字を読まなくなった」というわけではありません。
むしろ、スマートフォンやタブレットで、私たちは毎日多くの文字情報に触れています。
SNSやニュースアプリ、ウェブ記事、メールなど、読む対象が変わっただけで、「読む」機会はむしろ増えているかもしれません。
昨年、「なぜ働いていると本が読めなくなるのか」という本がベストセラーになりましたが、この本の帯には「疲れてスマホばかり見てしまうあなたへ」というコピーが添えられていました。
実際、「最近本を読まない」という人も、スマホで文字を読む時間はむしろ増えているという調査結果があります。
忙しい日常の中で、本をゆっくり開く時間がとりにくくなっていることや、気力がなくてもスマホなら受け身で見ることができる、という背景があるようです。
SNSと読書
SNSを読むのと本を読むのとでは、脳の働き方が違うのだそうです。
たしかに、SNSの情報は「読む」というより「見る」に近い気がします。
SNSの短文に慣れてしまうと、長い文章をじっくり読む集中力が続かなくなる、ということを実感している方も多いのではないでしょうか。
さらに、情報を得る手段としては動画や音声データもありますので、現代人は「深く読み込む」力がどんどん退化していると言えるかもしれません。
少し意識して、1日に10分だけでもスマホを本に持ち変える時間を作ってみるという方法もあります。
SNSを見る瞬発力も現代の生活には必要ですが、読書によって深く読む集中力を取り戻せたら、脳が活性化しそうです。
紙と電子、どちらで読む?
最近では電子書籍もすっかり身近な存在になりました。
スマホやタブレットで好きな本をすぐに購入でき、荷物を増やさずにどこでも読める便利さがあります。
通勤電車の中や、ちょっとした待ち時間など、日々のすき間に読書を取り入れることができるのも魅力です。
一方で、紙の本には、五感に訴える力があります。
本棚に並んだ背表紙を眺めると、これまでの自分の時間がそこに積み重なっているようにも思えます。
また、紙の本なら、人に貸してあげることもできます。
どちらが良い悪いという話ではなく、そのときの気分や生活リズムに合わせて、上手に使い分けられればいちばんです。
忙しい平日は電子書籍で手軽に、休日にはゆっくり紙の本を開く。
文字中心の文庫なら電子で、図版や挿絵が多い本は紙で、といった分け方もできます。
読書の効用とたのしみ
本を開けば、知らない世界へと飛び込むことができます。
知識を得られる本もあれば、感情をゆさぶってくれる本、楽しみを与えてくれる本もあります。
興味深いことに、国内外の調査では「よく本を読む人ほど高年収である」という傾向が見られるそうです。
もちろん、読書が直接収入を増やすわけではありませんが、知識や思考の柔軟さ、語彙の豊かさが、結果として仕事や人間関係に良い影響を与えているのかもしれません。
しかし、あまりにも忙しすぎると本を読むことも難しくなってしまいますね。
勉強のためにも息抜きのためにも、読書の時間を作れるような働き方が理想だと思います。
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