火の用心!

寒くなってくると、火事のニュースが増えるように感じられます。

実際は春の方が火災発生件数は多く、月別の統計では3月がワーストなのですが、冬は空気が乾燥しているため建物が燃えやすく、さらに風がある日は消火が困難になる場合があります。

また、ストーブなどの暖房器具が使われ、火の気が多い時期でもあります。

火災の原因と対策

消防庁の令和5年の統計によれば、火災の原因は多い順に「たばこ」3,498 件(9.0%)、「たき火」3,473 件(9.0%)、「こんろ」2,838 件(7.3%)、「放火」2,495 件(6.5%)、「電気機器」2,205 件(5.7%)となっています。

ただし、放火については「放火の疑い」もあわせると4,111件(10.6%)となりますので、実質的には火災原因の第一位は放火となるようです。

放火は大都市圏で多い傾向にありますが、防止する方法があまりないのが悩ましいところです。

建物の周囲に燃えやすいものを置きっぱなしにしないくらいでしょうか。

愛煙家の方々は、普段からたばこの火の始末には気をつかわれていると思います。

ただ、お酒を飲んだときや疲れているときなどはついうっかり……ということもありますので、普段から寝たばこはしないに越したことはありません。

たき火をするときは周囲に燃えやすいものを置かない、水を入れたバケツを用意する、風が強い日には行わないなど、これも基本的なことを守るのが大事ですね。

火を使わない電気機器も、使い方によっては危険です。

電気ストーブは石油ストーブより安全な印象ですが、ストーブのそばに置いた毛布などが過熱して発火するケースも後を絶ちません。

また、最近ではスマホや充電器のリチウム電池の発火や爆発による火災も増えているということです。

リチウム電池は、くれぐれもこたつで温めたりしないように気をつけて使いましょう。

夜回り「火の用心」の効用とは

拍子木を打ちながら「火の用心」と声をかけながら練り歩く夜回りは冬の風物詩ですね。

この風習は江戸時代に始まったと言われています。

長屋などの木造家屋が密集して建っていた江戸の町は火事が起きやすく、いったん火事になると大火となってしまうことがたびたびありました。

煮炊きにも暖房にも火を使っていた時代ですから、冬場の火事はいつ起きても不思議はないものでした。

少しでも火事を防ごうと、注意喚起のために町役人や夜番、町の人々が夜回りを行うようになったのでしょう。

現代では消防団や町内会によって「火の用心」の夜回りが行われることが多いようです。

消防車がアナウンスしながら町内を回る地域もあります。

火をそのまま使う機会は少なくなりましたし、家屋も燃えにくい構造となり、江戸時代に比べれば火事はかなり減っていますが、それでもゼロにはなりません。

火災防止への意識はいまでも必要なことなのです。

また、「火の用心」の夜回りには防犯の効果もあります。

火災原因の第一位である「放火」は防ぐのが難しい犯罪で、人目がない隙を狙って行われます。

しかし、夜回りがあれば、この地域には人目がある、防火意識が高いと印象づけることができます。

そんな地域には放火犯が近寄りにくくなるでしょう。

残念なことに最近では拍子木やかけ声がうるさいという苦情もあるそうですが、町の治安を考えたら、むしろありがたいものです。

寒い冬の夜にパトロールをしてくれている方々に感謝したいと思います。

防火、消火設備の大切さ

火は怖いものです。火災は突然発生し、一瞬にして生活を奪い去り、人命が失われることもあります。

そんな悲しいことが起きないように、設備の面でも、できるかぎり火災を防ぐ努力が重ねられてきました。

建物の規模や構造、立地に応じて防火基準が定められています。

住宅用火災報知器の設置は、自治体ごとに新築住宅では2006年まで、既存住宅では2011年までに義務化されました。

義務化が遅かったところでもすでに10年以上が経過しています。

火災報知器の寿命は約10年とされていますから、忘れずに点検して安全を保ちましょう。


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