新茶を味わう
さわやかな初夏を迎えました。
この季節にふさわしい飲み物といえば、新茶ではないでしょうか。
緑茶は一年中飲むことができますが、この時期だけのフレッシュな新茶の香りと味わいは格別です。
八十八夜と新茶
文部省唱歌『茶摘み』では、「夏も近づく八十八夜」という歌詞で始まり、茶摘みの風景が歌われています。
「八十八夜」は語呂の良さで印象に残るものの、現代にはあまりなじみのないことばですね。
八十八夜とは、立春から数えて88日目にあたる日のことを指します。
この日は、古くから茶摘みの目安とされてきました。
八十八夜の頃に、最初に摘まれる新芽が一番茶となります。
芽吹いたばかりのやわらかなお茶の葉は冬の間に蓄えた養分を含み、香りや旨みに優れているといわれています。
八十八夜に摘まれた新茶は縁起物とされ、これを飲むと体に良い、長生きする、などと言い伝えられてきました。
変わっていくお茶事情
近年、家庭で急須を使ってお茶をいれる機会は減少傾向にあります。
特に若い世代では、家にお茶の葉がない、おばあちゃんの家でしか見たことがない、などという人も珍しくありません。
とはいえ、実は若い人たちもお茶はよく飲んでいます。
煎茶や番茶など茶葉の消費量が年々減少している一方で、ペットボトルなどの緑茶飲料の需要は拡大しています。
いつの時代もお茶は愛されていますが、消費の形が変わってきているのですね。
緑茶飲料が広く普及するきっかけとなったのは、1980年代に登場した缶入り緑茶でした。
その後、1990年代以降にはペットボトル飲料が一般化し、現在ではコンビニエンスストアや自動販売機で気軽に購入できる身近な存在です。
ヘルシー志向の高まりもあり、糖分を含まない緑茶飲料は私たちの生活に欠かせないものとなっています。
また、オフィスにおけるお茶事情も大きく変化しました。
かつては給湯室で急須や土瓶を使ってお茶をいれる光景が一般的でしたが、現在ではドリンクサーバーやペットボトル飲料が主流となっています。
業務負担の軽減や衛生面への配慮などを背景に、合理化が進んだ結果ともいえるでしょう。
さらに近年では、来客用としても緑茶だけでなく、コーヒーやミネラルウォーターを提供する場面が増えており、飲み物に対する価値観そのものも多様化しています。
新茶の魅力
茶葉から丁寧にいれたお茶には、ペットボトル飲料にはない魅力があります。
特に新茶は、少しぬるめのお湯でゆっくり抽出することで、甘みや旨みが引き立ち、まろやかな味わいを楽しむことができます。
新芽特有のさわやかな香りも、この季節ならではの魅力です。
また、気温が高い時期には、水出しの緑茶もおいしいですね。
急須やポットに茶葉を入れ、水を注いで1時間から3時間ほど冷蔵庫に入れておくだけなので簡単です。
茶葉を冷水でじっくり抽出することで、渋みが抑えられ、甘くすっきりとした飲み口になります。
冷たい新茶は、初夏の季節感にもよく合う楽しみ方といえるでしょう。
ペットボトルのお茶より少し手間がかかりますが、その味わいには手間以上の差があります。
ぜひチャレンジしてみてください。
たまにはゆっくりお茶を
手軽さや利便性が重視される時代となりましたが、急須でお茶をいれる時間には、ゆとりや季節感を味わう豊かさがあります。
せっかくおいしい新茶が取れる日本に住んでいるのですから、この季節の特別な味と香りを楽しまない手はありません。
忙しい毎日の中だからこそ、時には茶葉からいれた一杯のお茶をゆっくり味わってみてはいかがでしょうか。
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